2013年1月8日火曜日

死者の短剣


ビジョルドのファンタジィシリーズ。

惑わし、遺産、旅路と続く死者の短剣シリーズ。四部作らしく最終作は未訳。湖の民ダグと地の民フォーンとの交流を中心に、悪鬼が脅威を与える世界の風習、風俗を生き生きと描いている。

いままでのビジョルド著作とは趣が異なりかなり淡々と物語が進行していく。要所要所で盛り上がりはあるものの、どちらかというとそれぞれの民の風俗の説明などに紙数が大きく割かれている。が、つまらないかといわれればそのようなことはなく、詳細に描写される世界は実際にどこかで存在するかのように訴えかけぐいぐいと物語へ没入させてくれる。

また他の著作と大きく異なる点が各巻のはじまりにある。ビジョルド著作のシリーズものはシリーズものであっても大体どこからでも読めるようになっているのが死者の短剣は前作が終わったところから始まるのでビジョルドには珍しい連作ものとなっている。さらにファンタジィ小説と説明したけれど実際にはファンタジィラブロマンスものなので読んでいてニヤニヤできるという点も珍しい。

珍しい点が多々あるシリーズだけれども大変面白い小説なのは間違いない。

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