2012年9月7日金曜日

人生教習所

小笠原を舞台に人生を見つめ直す人々を描く。



デビュー作の午前三時のルースターから続いたヒートアイランド、ワイルドソウル、ゆりかごで眠れなどのクライム小説ではなく、君たちに明日はないシリーズや真夏の島に咲く花はで描かれたヒューマンドラマ系の小説。

ひきこもりの東大生、無職の元ヤクザ、ジリ貧の肥満女性ライターとそれぞれ屈折したものを抱えた面々を物語のメインに据えて、著者の独特で味のある人物描写で少しずつ変わっていく登場人物の内面を優しく描いている。中でも元ヤクザの柏木の人物造詣は著作の中でも白眉で、どこかしらユーモラスな犯罪者を描くことにかけては著者は本当に素晴らしい。

読後は25時間と結構な運賃をかけてでも小笠原に一度は行ってみたいなぁと感じさせるさわやかな一冊。おすすめ。

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