2013年10月10日木曜日

バットマン:アーカム ツインパック


アーカムアサイラムとアーカムシティがセットになったお得なパック。

アサイラム→シティの順番なのでアサイラムから始めよう。操作は一緒なのでアサイラムで格闘操作に慣れているとシティで楽ができる。今作の売りは複数に囲まれた状況で簡単操作でボコスカ敵をなぎ倒せるところにある。話が進むにつれて敵の種類も増え、単純にボタンを連打しているだけでは返り討ちにあうし、銃を持っている複数の敵と対峙するとすぐに射殺されてしまうので身を隠したりする必要も出てくるけれど、ばったばったとモブキャラをなぎ倒しているときの爽快感はかなりすごい。

アサイラムでは行動範囲がせまいけれどシティでは街全体をびゅんびゅんと飛び回ることになるのでそっち方向での爽快感がにゅるにゅると滲み出してくる。

簡単操作でバットマンになれるお勧めの一作。

2013年10月9日水曜日

Remember Me


記憶の操作が可能となり貧富の差が著しく拡大した近未来を舞台にしたアドベンチャー。

ほとんど話題に上らないけど隠れた名作。格闘と壁をよじ登ったりなどのアクションがゲームの根幹で、他には他人の記憶に介入して改ざんするようなこともある。格闘、アクション、記憶改ざんと色々な要素があるけれど、どれも非常に丁寧に作られていて面白い。とくに格闘はコマンドを自分である程度作られるのだけれど、これがなかなか奥が深く、必殺技の要素とあわせて今作の格闘をより面白くしている。バットマン・アーカムシティの格闘に近いものがある。

シナリオはまぁそこまで目を引く内容ではないけれど、世界観の構築はよくできている。

ただ難点はカメラワークでこれが非常に悪い。プレイしていてカメラワークのせいでいらいらすることはよくあり、カメラワークの大切さを教えてくれる貴重な作品となっている。

全体的によくできた作品なのでお勧めの一作だ。

2013年9月15日日曜日

Game of Thrones(ゲーム・オブ・スローンズ)


愛憎を軸に王座をめぐって陰謀うずまくダークファンタジー。

ダークファンタジー好きにはたまらない内容。とにかく登場人物が多くやたらと家の名前が出てくるので初めは把握するのに苦労するけれど、4話ぐらいまで観ればキャラの立場がほぼ出尽くすので後は各キャラの物語を追いかけていくことになる。

この物語の何が良いかと言うとやたらと登場人物が多いのにこれがそろいもそろってすがすがしいほどのクズばっかりなところ。そのせいもあって最初の数話はイライラさせられる場面がままあるけれど、見進めていけばそのクズ達にも人間味が出てくるので話に深みが出てくる。しかし注意が必要なのがやたらとグロいシーンや、セックスシーンが多用されるのでそういうのが苦手な人はやめておいたほうが良い。

ただSkyrimが好きなような人にはぴったりのファンタジーものなので是非おすすめしたい。Skyrimとの共通点はたくさんあるのでそういうのを探すのも面白いと思う。


以下ネタバレというか10話まで観ての感想。

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いやー、ネッドの首ちょんぱはちょんぱされるまで予想外だった。でも結局のところネッドは脇が甘いというところに尽きる。前任者が不審な死を遂げてて誰が味方かも分からないところに何の策もなくノコノコ出かけてきて、しかも兵隊もたいして連れてこないとかあほかと。せめて状況が落ち着くまでは1000人は連れてこいよと。好感の持てる人物だったけど結局田舎の脳筋おっさんでしかなくて、とても宰相職のつとまる器ではなかったのが残念だなぁって。Winter is comingとか言ってるだけでよかった北の大地は宮廷と比べたら随分牧歌的なところだよね、という落ち。同じ北の民の伊達政宗の用意周到さと狡猾さを見習えよと。

サンサいい!よくいる脳みそお花畑のアホな娘だったけど、ジョフリーの酷薄さを目の当たりにした後の憔悴しきってる様はとてもきれい。いい!アリアはもっとかわいいけど。それと娼婦のロスもいい!!すごく美人。インプの娼婦は顔が馬みたいでどうかな。キャラは好きだけど。

ネッドの息子のロブが有能そうなのが意外。どこまで有能なのか分からないけど。あくまでも脳筋的な有能さしか見られなさそうなのが残念。普通の陰謀ものならここから外交も含めた政治的手腕とかが問われる場面だけど、この話にそういうのがあるのかは甚だ疑わしい。基本的に愛憎を軸に物語が展開してきてるので。北の王様。

ジョフリー最高!!彼は名君になるね。酷薄で残忍なのに少し反撃されるだけでびくってなるびびりなのが最高に良い!!いずれ物語のどっかで首ちょんぱされるのを期待してるけどそのときに最高のカタルシスをもたらしてくれる名君に彼はなれると期待している。

ラニスター家のキャラの立ち方がやばい。ジェイミーもインプも王妃も息子も最高。ジェイミーの軽薄そうでそうじゃないのもいいし、インプの常に諧謔を交えた会話は素晴らしすぎる。王妃とジョフリーの糞っぷりの連鎖も最高。さらに当主がしぶくて格好よいからしびれる。でも野営陣地のテントが赤いのには正直わろたw遠目からでもどこに駐留しているのか丸分かりというどうぞ奇襲してください宣言はいかにもラニスター家らしく堂々としたものである。

いやー、6巻以降が楽しみ。ドラゴンも生まれたし。

2013年3月11日月曜日

QUO VADIS~クオ・ヴァディス~


ゴスロリの金髪少女が表紙を飾るキリスト教史をベースにした現代の吸血鬼物。

古い絵柄にだまされがちだけど今現在で12巻まで刊行されていて以下続刊中の新しい作品だ。登場人物のあごがやたらととがっていたり、斜めからの顔がやたらとしゃくれていたり、たまにやけにあごががっしりしていたり、と微妙な絵柄になる場合が多々あるけれどそれを補ってあまりある物語の展開をみせてくれる。単純な吸血鬼ものではなく、徐々に明かされる謎とそれぞれの思惑を持って行動する登場人物たちの絡みが上手い具合に配されていて話にぐいぐいと引き込んでくれる。

で、まだ話は完結していないので当座の評価になるし、読んでて登場人物(とくにオーディン。あと教授も微妙だと思う)のアホさに嫌気がさしたりもするけれども中々に面白い。手にとって損のない漫画だと思う。

2013年2月18日月曜日

無理な体勢 封神演義 完全版 13巻

無理な体勢がとてもきになったのでどうしても言及しておきたくなった。そんな画像は下図。封神演義完全版13巻のとても有名なコマから。



漫画でしびれた展開などでよくあげられているこのコマ。たしかにかっこいい。特に背景で封神されている2つの魂魄と冷静な聞仲がとても良い構図をなしている。だがまってほしい。聞仲の姿勢に違和感を覚えないだろうか。上半身は聞仲から見て左側を向いているのに下半身は明らかに右側をむいている。右足のつま先と左足のつま先、さらには両足の位置関係から下半身は画面から見てコマの左奥を向いているのが自然だ。だが聞仲の両肩を見るとコマ手前側に開きがちだ。しかも重心は後方においているようにさえ見える。しかしそう考えると両足の位置、とくに左足の位置が不自然すぎる。この両足の位置で重心を後方において立つのはかなりきつい。とくに腹筋をかなり使っているはずだ。結論として聞仲はかなり無理をしてこの体勢を維持していると私は考えたい。

無理な体勢 からくりサーカス20巻

無理な体勢がとてもきになったのでどうしても言及しておきたくなった。そんな画像は下図。からくりサーカス20巻の表紙から。



初見で「おっ、ルシールかっこいい」と思ったのだけどすぐに違和感を覚え「足がない」ことに驚愕した。しかしよくよく観察すると馬の向こう側にスカートが見えていることから横座りしていることが理解できる。しかし下半身がルシールから向かって左側を向いていることを考えると、どう考えても上半身の向きがおかしい。へそも前方を向いているし上半身全体が右向きなのもおかしい。体がねじ切れているかタフのガルシアばりに体がひねられるかの二つに一つしかない。私としてはルシールの穏やかな表情から察するに後者の説を採用したい。

2013年1月17日木曜日

騎士の息子


私生児のフィッツがたどった数奇な運命を彼の独白で回想する。

騎士の息子、帝王の陰謀、真実の帰還と続くファーシーアの一族三部作。ファーシーアの私生児であるフィッツの幼少期から六公国を襲った激動の時代とともにあった青年期までを彼の回想という形で追体験する。

面白い。とにかく面白い。痛快な出来事などは数えるほどしかないし、胸のすく展開というのも少なく、どちらかというと陰鬱に寒さ、空腹、怪我、頭痛にさいなまれている描写のほうが作中の大半を占めているのだけれども、フィッツの日々の生活を彼の葛藤とともにこれでもかと濃密に描くことによって否応無しにフィッツへと感情移入させられる。彼の若さゆえの愚かしさや無鉄砲さ、彼本来の清廉さや頑固さにときにやきもきしつつもニヤニヤしてしまうことは間違いない。脇を固める登場人物たちも彼同様に魅力にあふれ世界観の補強に一役買っているし、「技」や「気」などあの世界の根幹をなす魔法の描写も詳細に繰り返されるので非常に説得力をもつ。ナイトアイズ最高!!私も気の魔法が欲しい。

また物語が進むにつれてフィッツを取り巻く状況が複雑化していき、それにあわせてページ数も増大していく。騎士の息子では上下あわせて700ページぐらいだったのに、帝王の陰謀、真実の帰還にいたってはそれぞれ上下あわせて1100ページと非常に読み応えがある。

お気に入りのファンタジィ小説だ。

著者は三部作が好きなようでファーシーアの一族三部作の続編として道化の使い三部作が邦訳されている。これがまた面白い。ファーシーアの一族にはまったのならばこちらも必読だ。

2013年1月8日火曜日

死者の短剣


ビジョルドのファンタジィシリーズ。

惑わし、遺産、旅路と続く死者の短剣シリーズ。四部作らしく最終作は未訳。湖の民ダグと地の民フォーンとの交流を中心に、悪鬼が脅威を与える世界の風習、風俗を生き生きと描いている。

いままでのビジョルド著作とは趣が異なりかなり淡々と物語が進行していく。要所要所で盛り上がりはあるものの、どちらかというとそれぞれの民の風俗の説明などに紙数が大きく割かれている。が、つまらないかといわれればそのようなことはなく、詳細に描写される世界は実際にどこかで存在するかのように訴えかけぐいぐいと物語へ没入させてくれる。

また他の著作と大きく異なる点が各巻のはじまりにある。ビジョルド著作のシリーズものはシリーズものであっても大体どこからでも読めるようになっているのが死者の短剣は前作が終わったところから始まるのでビジョルドには珍しい連作ものとなっている。さらにファンタジィ小説と説明したけれど実際にはファンタジィラブロマンスものなので読んでいてニヤニヤできるという点も珍しい。

珍しい点が多々あるシリーズだけれども大変面白い小説なのは間違いない。

チャリオンの影


ヴォルコシガンサーガのビジョルドが綴る中世ファンタジィ三部作。

今作はチャリオンの影、影の棲む城、影の王国という影シリーズ(実際には五神教シリーズ)ともいうべき中世ファンタジィ三部作の一作目にあたる。舞台はイベリア半島を上下反対にしたような地勢で、北方沿岸に四神教を奉じる五公国があり、その南方に五神教を奉じるチャリオンらの国々があって南北で長年対立しているという状況。

主人公はしょっぱなから尾羽打ち枯らしたみすぼらしい格好で現れ、寒さと疲労、空腹、さらには大怪我も満足に癒えてないというなんとも読んでいてつらい鬱々とした状況で物語が進行する。今作はヴォルコシガンであったような軽妙さは鳴りをひそめ全編そのように疲労や前方にたちこめる暗雲がこれでもかと描写されるので陰鬱な雰囲気が充満している。そのため主人公が華々しく活躍する活劇のようなものはなく、どちらかというと忍従を強いられる展開の連続となっている。

舞台設定はビジョルドらしく五神教やそれにまつわる風俗、風習にいたるまで大変によく作りこまれていてチャリオンの世界を堪能させてくれる。

全体としてすかっとする話ではないながらさすがの筆力というかぐいぐいとひきつける魅力は健在で次へ次へと先が気になって仕方が無かった。二作目の影の棲む城は陰鬱さが薄れ軽妙さが増すので面白さが倍増している。三作目は未読。